熟成中の味噌の中では次のようなことが起こっています。
まず、麹の麹菌(かび:Aspergillus oryzaeなど)により生産された酵素(プロテアーゼやアミラーゼ)にて、原料中のデンプンやタンパク質が分解されブドウ糖、麦芽糖、ペプチド、アミノ酸となります。
アミノ酸は味噌の味の中心となる成分で、ブドウ糖や麦芽糖は甘味を与えると同時に、酵母や乳酸菌の栄養源となります。
そして、耐塩性の乳酸菌Pediococcus halophilusなどが増殖し、乳酸などの有機酸が生成されpHが下がります。この乳酸により原料臭が消失し、塩なれがよくなります。
pHが下がり、酵母の生育しやすい状態になると、Zygosaccharomyces rouxiiやCandida属の耐塩性酵母が増殖し、糖分からアルコールや微量の有機酸、エステルを、アミノ酸から高級アルコールを生成します。これらは味噌の香味形成に重要な役割を果たします。
このように味噌の熟成は、かび・酵母・細菌および酵素の絶妙な連係プレーが行われ、数日〜1年ほどの時間をかけておいしい味噌が出来上がります。また、製麹や発酵・熟成は温度や湿度、酸素、時間の管理が非常に微妙で難しいため、おいしい味噌を造るために日々研究・改良されています。
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