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みその秘密

「みそ」は日本人の食生活の中で、古くから米、麦などの主食とともにとても重要な食品でした。その起源は古代中国の「醤(ひしお)」であるといわれていますが、いつ頃どのように日本に伝来したかは、分かっていません。

醤には動物性の原料を使ったものと植物性の原料を使ったものがあり、そのうちの一つ穀醤が日本的に改良され、「未醤」と称する日本独自の大豆発酵食品が誕生し、それがやがて味噌(みそ)と呼ばれるようになったとされています。ちなみに、「噌」という漢字は「味噌」以外には使われていません。

味噌に沢山の種類があるのは、この長い歴史の間に各地方の原料事情、気候風土、食習慣などが影響しているからです。

近年、味噌の「機能性」がとても注目されています。代表的なものにがん予防、胃潰瘍の防止、コレステロールの抑制、脳卒中の予防、老化防止、消化促進作用、整腸作用などがあります。これらは"畑の肉"といわれる「大豆」を原料とし、微生物の力で造り上げた味噌ならではの複合機能です。

その一 製造の秘密(味噌の製造方法) DOWNUP
米みその場合

蒸煮した米に種麹(微生物を培養したもの)を接種し生育させます。これが麹と呼ばれるもので、この作業を製麹(せいきく)といいます。

出来上がった麹に食塩を混合して塩切り麹という状態にします。

食塩を加えるのは麹の熱調整と仕込み時の食塩均一化のためです。

つぎに蒸煮した大豆と塩切り麹、食塩、種水(食塩水、ビタミンや培養微生物を加える場合が多い)を混合し、チョッパーにかげて部分的にすりつぶします。これを仕込容器に空隙がないように入れ、発酵熟成させます。熟成期間は味噌の種類によりさまざまですが数日〜1年ほどかかります。

大豆や米を熱処理するのは、タンパク質の変性・デンプンのα化を行い麹菌の酵素作用を受け易くすることと、有害物質の除去、付着している雑菌の殺菌などを行うためです。

これで熟成が完了すれば出来上がりです。また、こし味噌の場合はこれを漉し機に通します。

工程図 (米みそ)

味噌の工程図
その二 発酵の秘密(味噌の醸造・発酵現象) DOWNUP

熟成中の味噌の中では次のようなことが起こっています。

まず、麹の麹菌(かび:Aspergillus oryzaeなど)により生産された酵素(プロテアーゼやアミラーゼ)にて、原料中のデンプンやタンパク質が分解されブドウ糖、麦芽糖、ペプチド、アミノ酸となります。

アミノ酸は味噌の味の中心となる成分で、ブドウ糖や麦芽糖は甘味を与えると同時に、酵母や乳酸菌の栄養源となります。

そして、耐塩性の乳酸菌Pediococcus halophilusなどが増殖し、乳酸などの有機酸が生成されpHが下がります。この乳酸により原料臭が消失し、塩なれがよくなります。

pHが下がり、酵母の生育しやすい状態になると、Zygosaccharomyces rouxiiやCandida属の耐塩性酵母が増殖し、糖分からアルコールや微量の有機酸、エステルを、アミノ酸から高級アルコールを生成します。これらは味噌の香味形成に重要な役割を果たします。

このように味噌の熟成は、かび・酵母・細菌および酵素の絶妙な連係プレーが行われ、数日〜1年ほどの時間をかけておいしい味噌が出来上がります。また、製麹や発酵・熟成は温度や湿度、酸素、時間の管理が非常に微妙で難しいため、おいしい味噌を造るために日々研究・改良されています。

原料成分の変化

原料成分の変化
その三 種類の秘密(味噌の種類) UP

味噌の種類は多数ありますが、大別すると普通みそとなめみそ(径山寺みそなど)に分けられ、一般に味噌といえば前者の方を指します。さらに、原料・甘辛味・色調により分けられています。

普通みその分類
種類 色・味の分類 通称 主な産地
米みそ 甘みそ 白みそ、西京みそ、府中みそ、讃岐みそ 近畿、広島、山口、香川
江戸甘みそ 東京
甘口みそ 淡色 相白みそ
静岡、九州
御膳みそ 徳島
辛口みそ 淡色 信州みそ、白辛みそ 長野、北陸、関東
赤みそ、仙台みそ、津軽みそ、越後みそ、佐渡みそ、加賀みそ、北海道みそ、秋田みそ 北海道、東北、新潟、北陸、中国
麦みそ 甘口みそ 麦みそ 九州、中国、四国
辛口みそ 麦みそ、田舎みそ 埼玉、中国、四国、九州
豆みそ   豆みそ、八丁みそ、三州みそ、名古屋みそ、三河みそ 愛知、岐阜、三重
調合みそ   調合みそ 愛知、静岡

種類 製造方法
米みそ 蒸煮した大豆に、米こうじ(米を用いてつくった麹)と食塩を混合し発酵させます。
麦みそ 蒸煮した大豆に、麦こうじ(大麦又ははだか麦を用いてつくった麹)と食塩を混合し発酵させます。
豆みそ 豆こうじ(大豆を用いてつくった麹)に、食塩を混合し発酵させます。
調合みそ 米みそ、麦みそ又は豆みそを混合する。米こうじに麦こうじ又は豆こうじを混合する。

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