微生物(microorganism)とは、一般に顕微鏡でなければ観察することのできない、大変小さな生物の総称で、酵母・かび・細菌などのほか、藻類・原生動物も含まれています。この微生物は地球上のあらゆるところに生息し、土壌、水、植物、動物、人体、空中などどこにでもいます。 我々醸造・発酵食品分野では古くから微生物を活用してきました。しかし、17世紀に顕微鏡が開発されるまで、その姿を見ることはできませんでした。その後多くの科学者によって次々と新たな菌体が発見され、現在も続いています。 微生物には人間の生活に役立つ働きをするものとそうでないものがあります。そのうち前者を有用微生物、後者を有害微生物と呼んでいます。だだし、それらは使用目的や環境によって逆の立場になることもあります。ここでは醸造に利用されている微生物を中心に簡単に説明してみようと思います。 |
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醸造・発酵食品分野では様々な微生物が利用されていますが、主なものとして酵母(yeast)、かび(mold)、細菌(bacteria)などがあります。 一般的に使われているこれらの呼び方は俗名であり、学名ではそれぞれの菌体を属(genus)と種(species)によって細かく分類・命名されています。 これは二名法(二名式命名法)というもので、生物の分類にはいくつかの階級があり、似たような特性を持つ生物ごとにグループ化・分類され、一般的には、 表記は微生物の特徴を表すようなラテン語、またはラテン語化されたギリシャ語で、正式にはイタリック体、属の初めの文字は大文字、種はすべて小文字で書かれます。 |
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微生物は属と種によって分類されていますが、何を基準に分類されているのか?これは大変難しいのですが簡単に説明すると、微生物株の特性を分析し、上記の分類体系に従い既知の種と比較します。当てはまらない場合はその特性を明らかにし新種となります。この作業を同定といいます。 以前は菌体の形態、胞子形成、分裂パターン、生態、発酵形式、グラム染色、酸素・栄養要求性などを分析して分類していましたが、近年は分子生物学の発達により、細胞壁の組成、キノン分子種、DNA・RNAの塩基配列なども分析し、より正確で迅速な分類・同定を行っています。 |
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それでは実際に利用されている微生物を紹介しましょう。名前の最初の部分が「属」次が「種」となっています。 |
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なぜ微生物が食品に利用されているのか?その理由は微生物の代謝及びつくり出す酵素によって、食品の成分・味・香り・色などを変化させることができるからです。 たとえば、醤油は大豆と小麦、清酒は米、チーズは乳、ワインはブドウの成分を微生物によって、味、香り、物性、テクスチャー、色などを変えてそれぞれ新たな食品に仕上げられるのです。 参考:発酵食品の秘密 |
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そして、いずれの作用も中核をなすのは酵素(enzyme)です。この酵素なくしては醸造・発酵食品は作れないのです。また、微生物よりつくり出される様々な酵素は、食品だけではなく医学・工業分野でも広く用いられています。 |
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