「しょうゆ」は日本人なら誰もが知っている調味料。でもそのおいしさの秘密をあなたは知らないかも。 |
●しょうゆの美味しさは味・香・色、3つの要素から成つ |
「しょうゆ」は主原料である大豆のタンパク質と小麦のデンプンが発酵・熟成し、様々な味の成分、色や香りの成分に生まれ変わります。・参考「醤油の秘密」 しょうゆ中には非常に多くの成分が含まれていますが、味や香りのバランスが崩れないのは、これらが単に混ざり合っているだけではなく、長い熟成期間中に互いに作用しあって、絶妙な調和がとれているためです。 無数の要因が絡み合って自然に生まれる、「しょうゆ」の色・味・香り。繊細で複雑なその魅力が、さまざまな料理・素材のおいしさをひきたてます。 |
■5つの基本味が構成する絶妙のバランス |
|||||||||||
味の基本要素、全てを持つ万能な味 |
|||||||||||
|
|||||||||||
■食欲をそそる魔法の香り |
|||||||||||
300種類以上から構成された香りは果実・花・コーヒーなどいろいろ |
|||||||||||
「しょうゆ」の香りは非常に複雑で、麹菌、酵母、乳酸菌などの微生物の働きによって生まれます。しょうゆに含まれる香りの成分は、リンゴやバラやバニラなど、現在発見されているものだけでも300種類以上あります。 特定の香りが目立ちすぎることなく全体に調和して、しょうゆの独特な香りをつくりだしています。魚介類や肉類の生臭さを消すスパイスの働きも持ち、加熱すると芳ばしい香りが生まれます。 |
|||||||||||
■食欲をそそる美しい色 |
|||||||||||
「むらさき」と呼ばれる、高級で美しい色 |
|||||||||||
「しょうゆ」の色は黒ではありません。ガラス容器に少量のしょうゆを入れ、反対側から光を透して見るとよく分かります。 こいくちしょうゆは透明感のある鮮やかな赤橙色、素材に食欲をそそる美しい色をつけます。淡口しょうゆは黄色みを含んだ淡い赤橙色、素材の色合いを大切に生かします。 しょうゆの色は、主に小麦から生まれるブドウ糖と、大豆のタンパク質からつくられるアミノ酸が熟成中に反応してできるメラノイジンという物質によるものです。 |
|||||||||||
■次々に証明される魅惑の力 |
|
生臭さを消す醤油をつけて刺身を食べるのは、味だけではなく醤油に生臭みを消す大きな働きがあるからです。これは醤油中のアミノ酸の一種メチオニンが変化したメチオノールという物質の働きによる消臭効果です。 |
|
食欲をそそる、色と香りを出す蒲焼きや焼き鳥などの食欲をそそる香りは、醤油中のアミノ酸と、砂糖やみりんなどの糖分が、加熱によりアミノカルボニル反応を起こし、メラノイジンという芳香物質ができるためです。アミノカルボニル反応は、美しい照りを出す働きもします。醤油の色と香りを生かした照り焼きなどは、まさにこの反応を利用したものです。 |
|
日持ちを良くする塩分と酸醤油には、塩分と有機酸が含まれているため、大腸菌などの増殖を止めたり、死滅させる効果があります。醤油漬けや佃煮などはこの効果を利用して日持ちを良くしています。 |
|
甘味を一層ひきたてる例えば、甘い煮豆の仕上げに少量の醤油を加えると、甘味が一層ひきたちます。一方の味が強く、他方の味がごくわずかな場合、主体の味がより強く感じられる、このような効果を対比効果といいます。 |
|
塩味を抑え、和らげる漬かりすぎた漬物や塩鮭など、塩辛いものに醤油をたらすと、塩辛さが抑えられることがあります。これは醤油の中に含まれる有機酸類に、塩味を和らげる力があるためです。このように、混ぜ合わせた時に一方あるいは両方の味が弱められることを抑制効果といいます。 |
|
だしと働き合ってつくる、深い旨味醤油中のグルタミン酸と、鰹節中のイノシン酸が働き合うと、深い旨味がつくりだされます。このように混ぜ合わせることにより、両方の味がともに非常に強められることを、味の相乗効果と呼びます。そばつゆや天つゆなどが、この良い例です。 |
|
しょうゆ情報センター(SOYIC)広報誌より